CHECKLIST12 項目出典・確認日つき
外注・業務委託の発注前チェックリスト
見積りを取る前に、発注側の担当者が確かめておくことを12項目にまとめました。すべて公的機関のページを読んで整理しており、各項目に出典を付けています。
このチェックリストは法律・税務の専門家による助言ではありません。当てはまるかどうかは、取引の内容と自社の規模で変わります。確認日は 2026年10月19日で、制度は改正されます。実際の判断の前に、各項目の出典の原文をご確認ください。
取引の相手と法律
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1. 自社の発注が「取適法」の対象か確かめる
委託事業者として、資本金または従業員数の基準に当たるか。
2026年1月1日、下請法は「取適法(中小受託取引適正化法)」になりました。用語も「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」に変わっています。
対象は、取引の内容と、資本金または従業員数の基準の組み合わせで決まります。公正取引委員会のリーフレットでは、いずれかの基準に当たれば対象とされています。
根拠・補足
製造委託・修理委託・特定運送委託と、プログラム作成・運送・倉庫保管・情報処理の委託では、委託事業者が資本金3億円超(受託側は3億円以下)、資本金1千万円超3億円以下(受託側は1千万円以下)、または従業員300人超(受託側は300人以下)。上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託では、5千万円超(受託側は5千万円以下)、1千万円超5千万円以下(受託側は1千万円以下)、または従業員100人超(受託側は100人以下)。出典: 公正取引委員会
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4. 取引の記録を作り、2年間保存する
給付内容・代金の額など取引の記録を、書類か電磁的記録で残しているか。
第7条の義務です。取引が完了した段階で、取引内容を記載した書類または電磁的記録を作成し、2年間保存します。
根拠・補足
委託事業者の義務は、発注内容の明示・書類の作成と保存・支払期日を定める・遅延利息の支払の4つです。出典: 公正取引委員会
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5. 禁止行為の11項目に当たることをしない
発注後に代金を減らす、無償でやり直させる、価格協議に応じない、といったことをしていないか。
禁止されているのは、受領拒否・支払遅延・減額・返品・買いたたき・購入利用強制・報復措置・有償支給原材料等の対価の早期決済・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更とやり直し・協議に応じない一方的な代金決定です。
2026年の改正で、価格協議の求めに応じない、必要な説明をしない、といった一方的な代金決定が新たに禁止されました。相手の了解を得ていても違反になります。
根拠・補足
公正取引委員会のページは、中小受託事業者の了解を得ていても、違法性の意識がなくても、これらに触れる行為は違反になると説明しています。 -
6. 相手が従業員のいない個人・法人なら「フリーランス法」も確かめる
委託先は、従業員を使用しない個人事業主や、代表者1人だけの法人ではないか。
フリーランス法(令和6年11月1日施行)は、業務委託の相手方が従業員を使用しない事業者であるときの発注事業者の義務を定めています。資本金の基準はありません。
取引条件は、業務委託後ただちに書面または電磁的方法で明示します。報酬は納品等の日から60日以内の、できるだけ短い期日に支払います。募集情報の的確表示、ハラスメント対策の体制整備も義務です。
根拠・補足
1か月以上の業務委託では、受領拒否・報酬の減額・返品・買いたたき・購入利用強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更とやり直しの7つが禁止されます。6か月以上の委託では、育児・介護等との両立への配慮と、中途解除等の30日前までの予告・理由開示の義務があります。出典: 公正取引委員会 / 公正取引委員会・中小企業庁
お金と税務
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7. 請求書がインボイスか、登録番号を確かめる
取引先の適格請求書発行事業者の登録番号を、国税庁の公表サイトで確認したか。
仕入税額控除を受けるには、一定の事項を記載した帳簿と、適格請求書(インボイス)等の保存が必要です。制度は令和5年10月1日に始まっています。
取引先が免税事業者などでインボイスを発行できない場合は、経過措置として仕入税額相当額の一定割合を控除できます。割合は80%・70%・50%・30%と段階的に下がり、令和13年9月30日までが対象期間です。
根拠・補足
国税庁の Q&A の表では、令和8年9月30日までは80%、令和8年10月1日から令和10年9月30日までは70%とされています。この確認日(2026年10月19日)の時点では70%の期間です。取引の時期の判断は商品の引渡し日・役務の完了日です。 -
8. メールで受け取った見積書・請求書は、要件を満たして保存する
電子メールやWebで受け渡した注文書・契約書・請求書などのデータを、電子のまま保存しているか。
所得税・法人税の保存義務者は、電子取引を行った場合、一定の要件のもとでその取引情報の電磁的記録を保存しなければなりません。令和6年1月1日以後の取引は、保存要件に従った保存が必要です。
対象は、紙でやりとりしていれば保存が必要な書類(注文書・契約書・領収書・見積書・請求書など)に当たるデータです。受け取った場合も送った場合も含みます。
根拠・補足
保存要件は、改ざん防止の措置と、「日付・金額・取引先」で検索できること、ディスプレイ等の備え付けなどです。猶予措置や例外の適用条件は年度で変わるため、国税庁の最新の案内で確認してください。 -
9. 契約書の印紙税が必要か確かめる
紙の契約書を作るか。作るなら、請負か、継続的取引の基本契約か。
請負に関する契約書は印紙税の第2号文書で、記載金額が1万円未満なら非課税、1万円以上100万円以下なら200円など、金額に応じた税額です。金額の記載がないと200円です。
営業者間で、売買・請負などの取引を継続して行うための基本契約書は第7号文書で、1通4,000円です。契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます。
根拠・補足
国税庁は、電子署名を付した電磁的記録をメールで送る場合、電磁的記録は課税物件表の「文書」に含まれないため印紙税は課されないとしています。ただし、メール送信後に現物を交付すると、その現物は課税文書の作成に当たりうる、との文書回答もあります。
契約と人の扱い
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10. 契約が請負か準委任かを、書き分けて決める
契約書に「業務委託」としか書いていないのではないか。仕事の完成を求めるのか、作業の遂行を求めるのか。
「業務委託」は法律上の契約類型ではありません。請負は仕事の完成を目的とし、準委任は事務の処理(業務の遂行)を目的とします。報酬の発生、不具合への責任、中途解除の扱いが変わります。違いは「契約形態の整理」のページで表にしています。
根拠・補足
民法第632条(請負)、第643条・第656条(委任・準委任)、第648条の2(成果に対する報酬)。出典: e-Gov 法令検索
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11. 常駐・派遣的な使い方をしない(偽装請負)
請負の相手の作業員に、自社の社員が直接、作業の順序や勤務時間を指示していないか。
請負の形式でも、実態として注文主が作業員を指揮命令していれば、労働者派遣事業に当たります。契約の形式ではなく実態で判断されます。
告示は、請負事業主が、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること(業務の遂行方法・評価の指示、労働時間の管理、服務規律、配置の決定をすべて自ら行う)と、業務を自己の業務として相手方から独立して処理していること(資金の調達と支弁、事業主としての法律上の責任、自己の機械設備・材料または自らの企画・専門技術による処理)を求めています。
根拠・補足
昭和61年労働省告示第37号 第2条。偽装を目的とした場合は同告示第3条で、労働者派遣事業を行う事業主とされます。 -
12. 個人情報を渡すなら、委託先を選び、契約し、見届ける
発送代行・コールセンター・名簿を使う印刷など、個人データを渡す委託がないか。
個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先の監督として、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先における取扱状況の把握を挙げています。
根拠・補足
選定では、委託先の安全管理措置が委託元に求められる水準と同等であることを事前に確認します。契約では安全管理措置の内容を盛り込み、定期的な監査等で実施状況を確かめることが望ましいとされています。再委託についても、事前の報告・承認、監査による確認が望ましいとされています。出典: 個人情報保護委員会
次は契約形態の整理(請負・準委任・派遣の違い)で、契約書の書き方を確認してください。
出典と確認日
本文は、次の公的機関のページを当事務局が読んで整理したものです。法令・制度は改正されるため、実際の判断の前に原文を確認してください。
- 公正取引委員会「取適法リーフレット No.01(令和7年8月)「2026年1月から『下請法』は『取適法』へ」」 https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf(確認日 2026年10月19日)
- 公正取引委員会「取適法の概要: 委託事業者の義務」 https://www.jftc.go.jp/toriteki/toritekigaiyo/oyagimu.html(確認日 2026年10月19日)
- 公正取引委員会「取適法の概要: 委託事業者の禁止行為」 https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/oyakinsi.html(確認日 2026年10月19日)
- 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト(2026)」 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2026/index.html(確認日 2026年10月19日)
- 公正取引委員会・中小企業庁「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)【令和6年11月1日施行】説明資料」 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_02.pdf(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「タックスアンサー No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6498.htm(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「インボイス制度に関する Q&A 問130: 免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/130.pdf(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」 https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「電子帳簿保存法の概要」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/02.htm(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください(パンフレット)」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021011-068.pdf(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「タックスアンサー No.7102 請負に関する契約書」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「タックスアンサー No.7104 継続的取引の基本となる契約書」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7104.htm(確認日 2026年10月19日)
- 国税庁「質疑応答事例: 取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm(確認日 2026年10月19日)
- 福岡国税局「文書回答事例: 請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」 https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/01.htm(確認日 2026年10月19日)
- e-Gov 法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)第632条・第636条・第637条・第641条・第643条・第644条・第648条・第648条の2・第651条・第656条」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(確認日 2026年10月19日・条文は e-Gov 法令 API(v2)で取得)
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号・最終改正 平成24年厚生労働省告示第518号)」 https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf(確認日 2026年10月19日)
- 厚生労働省「「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00020.html(確認日 2026年10月19日)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)3-4-4 委託先の監督(法第25条)」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/(確認日 2026年10月19日)